マンションの場合、戸建と違って所有者に区分所有権がある「専有部分」と、マンションの住人全体で共有する「共有部分」があります。
「専有部分」とは住居部分の内側の壁にある居住空間の内装部分(フローリングやクロス)や、その他内装材(畳や襖・ボードや下地材など)とトイレやキッチンやユニットバス(一部外部ある給湯器)などの設備機器を言います。
一般的には「専有部分」は個人の所有物なので自由にリフォームする事が可能なはずですが、マンション独自の管理規約によっては「専有部分」なのにリフォームが出来ないケースもあります。
以上を踏まえてマンションリフォームやリノベーションでも『出来ない事』『やってはいけない事』を考えて行きましょう。
①バルコニーのリフォーム
バルコニーは専用使用権が認められていますが「共有部分」です。
バルコニーは緊急時の避難経路にもなりますので、避難経路を塞ぐ物や避難を妨げる様な物(例:物置など)を置く事は基本NG。
避難経路にあたる隣家との境界の「パーテーション」(蹴破り戸、隔て板、仕切り板などと呼ばれている間仕切り板)の前に物を置くのはNG。
外から見て外観が変わって見える様な改装はNG。(例:サンルームに改造する・波板やトタンで囲むなど)
天井・壁・床に何かを固定するような事はNG。(例:床に人工芝をボンドで貼り付ける・ウッドデッキを固定する)
鳩よけネットなどの鳥獣被害対策品や、大掛かりなウッドデッキの施工などは管理組合に事前に確認しましょう。
マンションの場合は十数年に一度、大規模修繕となるものが行われるのが一般的ですが、その時に元の状態(何もない状態)に戻せるようにしておくのが基本中の基本です。
注)厳密に言えばエアコンの室外機もダメなはずですが『避難経路に邪魔にならない場所に設置する』という前提でおとがめなしの様です。
②窓(サッシ)のリフォーム
窓(サッシ)は「共有部分」です。
建築基準法で換気や採光の為の窓面積が決まってますので、仕様変更や位置変更などはNG。
サッシは所有者が管理組合の許可なしに勝手に取替えるのはNG。但し、ガラスが破損や鍵が故障した場合は「専有部分」の所有者の費用負担で交換となります(破損する前と同じ仕様でないといけない。 例:以前が透明ガラス→透明ガラスに。網入りガラス→網入りガラスに)
室内側の額縁(窓枠)等は躯体部分に干渉がなければ交換しても大丈夫です。
では、経年劣化で立て付けが悪くなり、開け閉めが出来なくなったり、クレセント(鍵)が掛からなくなってしまって、補習や修理では対応できない状態の場合はどうすればいいか…これは管理組合によって対応が異なりますので相談してみましょう。
サッシの寿命は30年前後と言われてますので、交換時期が来たマンションは管理組合全体で話し合う様にしてもらいましょう。
③建物の構造躯体(こうぞうくたい)
「専有部分」の室内にあるコンクリートの壁(間仕切り)や、天井・床・柱や梁(はり)は「構造躯体」なので「共有部分」です。
「構造躯体」の撤去(コンクリートの壁を壊すなど)はマンション全体の耐震強度等が低下する恐れがありますのでNG。
「構造躯体」にエアコン配管用のコア(穴)を開ける場合や、IHコンロ用の電気配線の為の新規穴あけなどは、管理組合に確認しましょう(基本はNGが多いです)
2軒並びの部屋を購入し「構造躯体」の壁に開口を開け、ドアを取付けるといった事もNG。
天井の「躯体部分」(コンクリート)に照明器具の埋込ローゼットや引掛けシーリングなどの、取付部材や配線が埋め込まれている場合や、壁にコンセントが埋め込まてる場合は「躯体部分」をハツって(壊して)の移動は出来ません。(照明器具の位置を移動したい場合や、ダウンライトに変更したい場合。また露出配線がどうしても嫌な場合は、二重天井・二重壁にするなどして対応しましょう)
④パイプスペース(PS)部のリフォーム
パイプスペース(図面でPSと記載がある部分)は「共有部分」です。
PSの配管は上下階で縦管が通っていますのでの位置を変更したり、縦管自体を交換する様な工事はNG。
現在のPS付近に点検口がある場合は、改修後も同じ様に点検出来る様にしなければいけません。
PSではありませんが、同じ様な理由で「TVアンテナ」も上下階が本線で繋がってますので、移動したり変更はNG。
⑤玄関扉(ドア)のリフォーム
マンションの玄関扉は「共有部分」です。
マンションの玄関扉の交換や外側の塗装などはNG(室内側の塗装はOKな場合もあるので管理組合に確認しましょう)
防犯上の理由で新たに鍵穴を開けて鍵を取付けたい場合は、管理組合に確認しましょう。(基本的にOKが多いです)
玄関扉の内側に取付ける『玄関網戸』(折戸式や一枚式のルーバー扉など)は厳密に言えば『消防法』違反になります。
玄関前にポーチがある場合は「バルコニー」と同じ扱いです(専有使用権が認められてますが共有部分です)
ポーチに付いている「門扉」も「共有部分」なので勝手な変更はNG。
表札やポストもマンションで統一されている物であれば「共有部分」となり、勝手に変更や交換はNG。
⑥お風呂(給湯器)の追炊き配管
現状の給湯器に追炊き機能が無く、新たに追炊き機能を導入する場合は「共有部分」の「構造躯体」に追炊き配管を通す穴を開けないといけない場合がありますので、可否かどうか管理組合に確認を取りましょう。
また給湯器を取り付けてあるPSの扉を外したり仕様変更はNG。
レアケースとして、稀にですが築年数が30年前後のマンションの場合、建物全体のガス供給の容量問題で、ガス給湯器の『号数』を大きくする事(16号→24号になど)がNGのマンションもありますので管理組合に確認しましょう。
一言で『マンション』と言っても管理規約や管理方法は違います。しかし「共有部分」や「構造躯体」などについての扱いはほぼ同じです。
リフォーム業者もその辺りの一般常識はわかっているはずですが「施主さんに頼まれて、断りきれず、これくらいなら…」と言う無責任なのか、無知なのかわからない業者も居るのは確かです。(経験の浅い営業マンなどは知らない事が多い)
業者は仕事が終われば関係ありませんが、マンションは共同住宅です。「外部から見える様な、あからさまな管理規約違反」をしている住居が1軒でもあると、管理が出来ていない物件としてマンション自体の価値が下がり、売却時に周りの相場より安くなったり、なかなか売れなかったりする事も良く聞く話です。
例えば「TVのニュースなどで、近隣トラブルがあるマンション」と紹介された物件に、住みたいと思う人は少ないのと同じです。そうならない為にも住居者全体で最低限のマナーとモラルは守ったほうが、みんなが得をします(笑)
私もマンション暮らしなので、これを書いてて気をつけねば!!!と思い直しました…特にベランダには色々置いてる…暇なときに片付けます。。。(汗)
普通のリフォーム業者はこれ位の事は知ってて当然ですが、中には何でも「出来ますよ!」と言って後々『大トラブル』になって消えていく業者もあります(汗)そうゆうのを回避する為にもリフォームでは「相見積りが必須」なんです。
昨今は一度の問い合わせで業者を複数紹介してくれるサービスもありますので、使わない手はないと思います(笑)
60万人が利用!利用者数No.1のリフォーム会社選びサイト「ホームプロ」
最後まで読んで頂きありがとうございました m(__)m
この記事が少しでも参考になれば幸いです・・・